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工事差し止めの司法判断を真摯に受け止め東京外環道事業は直ちに中止し、憲法違反の大深度法は廃止せよ

2022年3月16日

  • 道路住民運動全国連絡会

2022年2月28日東京地方裁判所民事第9部(目代真理裁判長)は、東京外環道工事差止仮処分申立事件において、住民の人格権を侵害する工事の違法性を認め、東京外環道の事業者である「国とネクスコ2社(東日本高速道路(株)、中日本高速道路(株))」(以下債務者らという)に対して、トンネル工事を一部差し止める旨の決定を発した。

決定の要点は「債務者らは、東京都市計画道路事業都市高速道路外郭環状線のうち東名立坑発進に係るトンネル掘削工事において、気泡シールド工法によるシールドトンネル掘削工事を行い、または第三者をして行わせてはならない」というものである。これによって、東京外環道の往復2本の本線トンネル約16.2kmのうち、それぞれ南側約9km部分について掘進工事の停止が命じられた。この部分は、2020年10月18日に調布市東つつじヶ丘地区の地下47m以深で工事中であったトンネル上の地表の道路陥没と地中3か所の空洞及び地盤の緩みが発見された区域も含んでいる。

本決定によって、事業者らは、裁判上の手続によって具体的な「再発防止対策」を示して決定を覆せない限り、任意に工事を再開することは出来なくなった。

また、今回の工事差し止め決定は当該債権者以外にも本件差止区間のトンネル予定地上の多くの住民に安心感を与えるものである。更にトンネルの真上でない住民についても、地盤の緩み、空洞、陥没の危険が認められ、事業者のいう「トンネルの真上」だけでなく、その周辺の一定の範囲の住民にとっても被害補償につながる決定である。

言うまでもなく、今回認定された9km以外の東京外環道の全区間に於いても、陥没事故など同様の影響が当然に予測されることから、今回決定には不十分さが残されており、当事者の方々が即時抗告したように、司法には事実に正面から向き合い更に踏み込んだ科学的・合理的判断をすることを求める。

東京外環道は平成25年(2013年)に大深度法(正式名称:大深度地下の公共的使用に関する特別措置法(平成十二年法律第八十七号))の認可を受けて事業が進められている。しかし、「通常使用しない大深度地下を使用するので地上には影響が無い」といった大深度法の「前提」である安全神話は、この間に起きた住民の命さえも奪いかねない酸欠気泡噴出や陥没・空洞事故、振動・低周波音による健康破壊、そして約30戸の家壊し・街壊しにより崩れ去った。

このように無断・無補償で地権者の土地の地下を勝手に使ってよいとする大深度法は、日本国憲法29条(財産権)・13条(人格権)・25条(生存権)などに違反していることが誰の目にも明らかになっている。

東京外環道事業は平成19年(2007年)に地下方式に都市計画変更決定されたものであるが、決定から15年が経過し、この間には社会経済環境の変化によって平成22年(2010年)以降は自動車交通量が減少し続けており、住民などからは事業の必要性や環境破壊など数多くの疑問が出されてきている。

しかも当初に見積もった事業費1兆2820億円が2020年には2兆3575億円に膨れ上がっている。この事業については5年ごとに事業再評価が行われていて、2020年の再評価では費用対効果(B/C)が「1.01」となっている。しかし、平成27年(2015年)に構造変更された地中拡幅部は全体として未だに工法や費用が示されておらず、それらの分を合わせると費用対効果は事業再評価時の判断基準である「1.0」を大きく下回り、当然に中止や見直しすべき事業となる。

事業者らも十分知っているように、仮処分といえども公共事業の中止を裁判所が命じることは非常に稀有な事例であり、今回の工事差し止め決定は極めて貴重で勇気ある画期的な司法判断である。

事業者らはこの度の司法判断を真摯に受け止め外環道全線の事業を中止すること、更に国に於いては特措法である憲法違反の大深度法は直ちに廃止することを求める。

以上

【関係資料】

第45回全国交流集会アピール

第45回全国交流集会は、横浜市の神奈川県立「あーすぷらざ」で開催され、29団体、78人(延べ115人)が参加した。

当集会の横浜開催はこれまで5回あったが、当会場では5年前の2014年10月に続き2回目となった。この間当該地区の横浜環状道路(圏央道)の進捗状況概要は次のとおりである。5年前には当局による土地収用法に基づく事業認定申請に向けた事業説明会が強行された。これに対し住民は意見書の提出、公聴会での意見陳述を行い法的範囲内で本計画の白紙撤回・抜本的見直しを拠り所に抵抗を試みたのである。抵抗も空しく翌15年10月に不本意ながら事業認定された。その後事業説明と工事説明が各工事区域で行われた。連協加盟沿線区域では都市計画決定から20年間にわたり、工事の着工を一切許すことはなかったのである。事業認定決定を契機に連協の運動方針は白紙撤回から大きく転換し、当局の事業認定に基づく具体的な工事に対し厳しく対応し住民の環境への影響や不安を取り除くべく国交省、NEXCO東日本、横浜市と質問回答会議を随時開催し意見交換の場で依頼・要求等を行ってきた。そして今も継続中である。

こうして素案発表から30年以上を経過した現在、建設計画区域全線で工事が着工されることに。この間運動の最大の成果としては30年間高速道路を造らせることなく住環境が守れたことは住民の自負するところである。圏央道では裏高尾をはじめあきる野等々で何十年にもわたって建設阻止の運動が展開されてきたが、横浜を含め数年後に全線開通を余儀なくされることに対し今なお多くの関係者は忸怩(じくじ)たる思いがあるのではないだろうか。

本集会ではこれまで全国で繰り広げられてきた「住民参加の道路事業」の中で「住民が主人公であったか、何を未来に伝えるか!」をテーマに分科会で取り上げることとした。全国で住民参加の事業を展開してきたが、その中で住民が参加したがうまくいかなかった事例、住民の参加により良かったこと等を踏まえ住民参加への提言など何を未来の運動に伝え、いかに進めていくかのヒント・助言に少しでもつながればとの思いからの企画であった。これは道路住民運動の現状の問題点を明らかにするとともに将来の方向性と展望を切り拓くことに役立つことを切に願うものである。

近年、大規模な災害が相次いでいる。今年に入っても台風・豪雨による河川の決壊、氾濫など風水害の激甚化は、多くの犠牲者と被害を出したのは記憶に新しい。地球規模での気候変動が影響していることは否定できない。自然災害が多発する日本列島で、国民の命と財産を守ることは政治の要(かなめ)であり、従来の延長線上ではない、防災・減災対策の抜本的な強化が求められるところである。こうした状況のもと公共事業を、これまでのように大型開発・新規事業優先ですすめていいのかが問われている。私たちは、安全・安心の防災・減災対策、老朽化対策を公共事業の基本に据える抜本的な改革が必要だと考える。そして実現化するために全国の市民運動と連帯して国等行政に訴えていくことをここに宣言する。

2019年11月24日

  • 第45回道路全国連全国交流集会参加者一同

「公共」は意図的な誤訳だ|大川浩正

第44回全国交流集会(2018年11月17・18日 東京)記念鼎談「半世紀の闘いから道路問題を語る」(標博重 前道路全国連事務局長、大川浩正 道路公害反対愛知県民会議代表委員、橋本良仁 道路全国連事務局長)における大川浩正氏の発言をご自身が原稿にまとめられました。公共事業を考えるうえでの参考資料として掲載いたします。

  • 大川浩正(道路公害反対愛知県民会議代表委員)

第44回全国交流集会の記念鼎談(道路公害と住民運動No.969 2018年12月)で私が話ししたことの再録と、リニア中央新幹線、東京外環道の大深度法適用の現実を見て補足しました。

「公共の利益、公共の福祉という言葉は意図的な誤訳だ」。これは新幹線公害の判決に関して故徳田秋(おさむ)さん(民医連)の感想です。Public welfareのpublicは公衆電話、公衆浴場など公衆と訳されることが多い。ふつうは国民大衆、一般大衆、国民一般などと訳されます。

一方「公」はおおやけと読み、もとは朝廷のこと、江戸時代には年貢について七公三民(収穫の七割をお上、領主がとり、農民は三割)などと用いられ、民と対立する言葉です。publicを公共としたために「公共の利益、公共の福祉」は個人の権利と対立することになりました。

わたしがかつて読んだ憲法解説では「個人の権利は,他の人の個人の権利と衝突するときは行政、司法によって調整される」とありました。つまり「公共の福祉」とは、個人の利益が相互に衝突する場合、社会全ての人々の個人の利益がバランスよく保障されるよう、調整することをいうのです。だから多数のため、個人が犠牲になることを意味するわけではありません。私はこちらがまともだと思います。

「大深度地下法」にも「公共の利益」がもちだされています。ここを個人の権利の衝突としてバランスよく調整するなら「リニアによる不特定多数の数十分の利益と特定少数の一日24時間、数十年、いや永久に続く被害を比較すればリニア中止の結論は明らかです。また、車で外環道を利用しようという人は、沿線の被害と比較して、他の道を選んだり、自転車にしたり、近い将来には世界的にブームになっているLRTを利用するという様々な選択をすることが公共の福祉(個人間の利益の調整)と言えるでしょう。

不特定多数どころか、ゼネコン、ほんの一握りの大金持ちが株主として、公共の福祉を唱えることが公害の原因と言えます。戦後70年、公害が続発してきたことは、大企業と政府が公共の福祉を旗印に、公害反対の住民運動を押しつぶしてきた結果です。

リニア新幹線では供用しても赤字と社長が自認しているのに事業を始めています。営利を目的とする私企業にそんなことが出来るのでしょうか。中部空港第2滑走路や北九州道路なども同様供用後の需要増が見込まれないのに建設を強行しようとしています。「公共の福祉」という錦の御旗を振りかざして、結局は、政、官、業が公費を山分けしているのではないでしょうか。現に辺野古の基地建設では防衛省高官が天下りした業者が全事業の7割を受注したとか、埋め立て用岩ずりの単価が通常の3倍で決定され、しかもその業者から沖縄防衛局に献金されていることが報道されています。なぜこんなことが公共事業として通用するのでしょうか。

そうした状況に負けないよう、声を大にして、一つにまとまって運動を進めることが今こそ求められています。

  • 参考(以下は、文章を理解するための日本国憲法抜粋です。第9条以外にもいろいろあります。)
    • 〔基本的人権〕
      第11条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。
    • 〔自由及び権利の保持義務と公共福祉性〕
      第12条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。
    • 〔個人の尊重と公共の福祉〕
      第13条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

東京外環道訴訟第5回口頭弁論における原告意見陳述(公益性・環境破壊について)|原告訴訟代理人 弁護士 遠藤憲一

2019年5月14日、東京外環道訴訟第5回口頭弁論が行われ、原告側から東京外環道の公益性及び環境破壊について意見陳述を行いました。その要旨を掲載します。

平成29年(行ウ)第572号

原告 岡田光生他

被告 国他

更新意見要旨

2019年5月14日

  • 原告訴訟代理人 弁護士 遠藤憲一

(裁判長交替に伴う更新意見)

1 第1点 今、本件外環道をつくらなければならない「公益上の必要性」はない。

被告国や事業者は、「首都圏の渋滞緩和、環境改善や円滑な交通ネットワークの実現」等の大義名分を掲げている。

しかし子供の人口は1950年に比べて半減した。我が国が著しい高齢化社会を迎えていることは公知の事実である。

こうした現実を無視して、平成11年とか平成17年度の道路交通センサスにしがみつき外環本線交通量1日7.6から9.6万台などと想定する事業計画におよそ公共性はない。

大泉ジャンクションから東名高速まで、60分を12分とする時間短縮効果があるというが、距離を速度で割っただけの計算でしかなく、いまや外環利用よりも都心環状経由や高速中央環状経由の方が早いという計算結果もある。外環道のために1兆6千億円、1メートル1億円も注ぎ込んで造る必要性も合理性もまったくない。

他方で国は、東日本大震災、福島原発事故から8年を経過するのにまともな震災復興さえできず深刻な放射能汚染の状態を隠蔽している。

社会福祉予算も削減の一途を辿る中、公益事業の名のもとに、住民のくらしの安全と環境を一方的に侵害して敢行されようとしているのが本件事業である。しょせんゼネコン、資本の利権に「公益」の衣を被しているにすぎない。

このように本件事業は、「公益上の必要」という大深度法16条3号の要件を欠くものである。

本件審理に於いては、「公益性」のひとことで無前提に受け入れるのではなく、その内実を徹底的に究明してもらいたい。

2 第2点 外環道は環境改善どころか環境の大破壊をもたらすものである

住宅の真下に直径16メートルのものトンネルが貫通する。武蔵野台地の地下水脈を分断・破壊し、排気ガスをまきちらし広く大気が汚染される。外環道は人間の生活に最も重要な空気、水、土、緑を汚染する。

巨大地下トンネルの建設は、一瞬先は闇の危険が埋まっている。現に地下トンネルによる、地盤陥没や、水涸れなどが全国各地で発生し、報告されている。

本件ではこれら環境破壊の問題 処分の違法性を基礎付ける事実(訴状請求原因第5)について徹底的に究明されなければならない。

地下水位の低下については、被告らも地下水の流動阻害が生ずることを認めている。

流動阻害によって水位の変動が生ずることを認めている。

しかし、その予測の手法=三次元浸透流解析なるものには、専門家から元になるデータの収集や手法上の問題点が暴露され、信頼性がないことが指摘されている。

また、その予測に基づく環境保全措置=地下水流動保全工法についても、環8井荻トンネルの失敗例に明らかなように、決して安定した保全措置ではない。

被告国は、実施事例は16例あるとしてその施行効果があるかのように言うが、環境影響評価書の該当部分を見ても事例の羅列でしかない。資料編には阪和自動車道の1例しかのせられていない(乙20の1)

被告国の外環事務所は 住民に対して検証結果は分からないと述べている。

しかも本件事業認可の後の検討委員会で、保全工法の構造変更の審議などがなされ、なお検討中の段階である。

にもかかわらず、環境影響評価に唯一依拠して危険はないと強弁しているのが被告国、事業者らである。

しかし、その環境影響評価書では肝腎な部分のデータが開示されていない。公式や数式、一般的数値は開示しているが、判断の下になったデータが不明なもの、論証抜きの評価が多数ある。

また、被告国は、原告らの主張に対し、認否を巧妙に避けている。

追って具体的に明らかにするが、主張を噛み合わせるには認否が必要である。都合の悪い部分に蓋をしたまま議論を進めることは許されない。

裁判所は、「環境影響評価書」にそう書いてあるからもうそれでよい、議論は終わりだといわんばかりの被告国の主張に引きずられてはならない、鵜呑みにしてはならない。

ことはどれひとつとっても住民の生命・身体にかかわる問題である。

最近 野川の気泡(酸欠空気)噴出が大問題となった。これついて国は事故ではなく「事象」であるなどと他人ごとのように言っている。単なる「原告の抽象的危惧感」だとなどと言っている。裏付け資料も出さずに「有意な影響を及ぼすものではない」などと言っている。

それでいて被告は説明責任を十分尽くしてきたなどと言っている。

このような被告らの対応は許されるものではない。

裁判所には、十分な事実解明のための訴訟指揮をされるよう強く求める

もとより本件行政処分が適法であることの立証責任は、被告らにすべてあることを裁判所は銘記して審理を進められるよう訴える。

以上

第44回全国交流集会アピール

道路住民運動全国連絡会第44回全国交流集会は、東京都国分寺市の東京経済大学で開催され、36団体、128人が参加した。

東京では、大深度法が初めて本格適用された巨大な外環道工事により、地表が異常事態となっている。地下40mの工事現場で使用された気泡が、致死レベルの酸素欠乏ガスとなって地上の川面に噴出。更に地下水も地上に噴出した。しかし住民への説明会開催がないまま、工事が続行されている。

地上部に影響を与えないことを大前提に成立した大深度法であるが、脆くもその大前提が崩れ去っている。このことは、東京外環道訴訟の大きな争点となるとともに、リニア新幹線事業、大阪淀川左岸延伸部など、大深度法が適用される事業に警鐘を鳴らすものでもある。

都市計画道路では、東京都が見直しの姿勢を見せることなく、半世紀以上前の計画実現を地元住民の意向を無視して強行しており、また、災害対応を口実に特定整備路線を強引に進めている。いずれも、自然環境やまち壊しである。当然、各地で反対運動が巻き起こり、都内で12の道路裁判が争われている。

計画段階の事業評価及び事業再評価などの制度は、全く機能していない。

このように、全国の道路計画・道路事業は「人間が主人公のまちづくり」とはほど遠い状況にある。人口減少、高齢化社会を迎え、不要・不急の道路政策は見直されなければならず、真の住民参加の実現が求められる。

年間5兆円が必要である老朽化したインフラの補修維持費は、18年度当初予算で5440億円と、必要額の1割にとどまっている。また、東日本大震災からの復興、とりわけ福島原発事故の被災者への支援打ち切り、暴力的な辺野古基地建設など、民意を無視した政策が続いている。一方、5兆円を超えた防衛費は、次々に高額兵器を米国の言い値で買い上げることにより、後年度負担を含め、既にGDP1%という枠を超えるとの指摘がある。財政を破綻に導くアベノミクスと併せ、早急に是正が必要な状況である。

2019年は統一地方選挙、そして参議院議員選挙の年である。改憲を見据える安倍政権の暴走を止めるとともに、不要・不急の道路建設を止め、弱者に目を向けた、だれもが住みやすいまちづくり、国造りを実現していかなければならない。

私たちはこの問題に、自公政権に異議を唱えて立ち上がっている多くの市民運動との連携を強めながら、全力を挙げて取り組んでいくことをここに宣言する。

2018年11月18日

  • 道路住民運動全国連絡会第44回全国交流集会参加者一同

第43回全国交流集会アピール

第43回道路全国連全国交流集会は、「住民主体のまちづくりで、道路交通政策の見直しを」の大会スローガンのもと、千葉県市川市文化会館で開催され32団体、114人が参加した。

開催地市川市では環境問題をはじめ、多くの問題点をのこしたまま外環道路(東京外かく環状道路)の建設が進められ、既に一部の区間では供用が行われている。交流会1日目の現地見学では、こうした市川市の現状とともに、東京都江戸川区内のスーパー堤防事業、千葉県が第二湾岸道建設に固執している東京湾奥に残された最後の干潟、三番瀬、事業化に向け動きだした北千葉道路計画地、昨年11月に供用が開始された市川市都市計画道路3・4・18号線などを見学した。2日目の全体集会では、岩見良太郎・埼玉大学名誉教授による記念講演「住民主体のまちづくりへの課題」をうけ、全国各地区で道路問題に取り組む運動の紹介や成果、問題点などの報告がなされるとともに、大気汚染によるぜん息等の患者への医療費助成を求める運動、リニア中央新幹線建設阻止を求める運動から、集会参加者への訴えがあり、これらの運動との連携を深めた。

高速道路など巨大プロジェクト中心の公共事業は自然を破壊し、住民の住み慣れた街を奪い、大気汚染や騒音被害をもたらしてきた。しかもこうした巨大プロジェクトは莫大な予算を伴うため、公共事業の在り方を見直すべきだとの指摘は多い。しかし巨大プロジェクト、なかでも高速道路建設の動きは止まらない。1987年の四全総で計画された1万4000kmの高規格道路は既に1万1260km整備され、今後、計画路線すべてが整備対象となろうとしている。しかし高度経済成長期に造られた多くの社会資本は老朽化しており、今後50年間に必要な維持、管理、更新の費用は250兆円とされている。新たな巨大道路を建設する財政的余裕はない。

巨大公共事業は、関係する住民が知らないところで決められ、一度決まった計画が見直されることはまれである。計画段階で住民意見を取り入れることが目的で国が導入したはずの「計画段階評価」や、事業化された公共事業を見直す「事業再評価」などの制度は機能していない。

このような状況の中で全国の道路住民運動団体は国、自治体、道路会社などを相手に粘り強い交渉を継続し、さらには公害調停や訴訟を提起し、成果を獲得する団体も出てきている。こうした運動をさらに前に押し進めなければならない。

クルマの排気ガスによる大気汚染とぜん息の因果関係は、2011年5月に環境省が公表した大規模健康影響調査の結果からも明らかになっている。国は一刻も早くぜん息患者等の救済制度を創設すべきである。

騒音に関し、環境基準が幹線道路近傍地域の特例として設定している値は、国道43号線最高裁判決や国道2号線広島高裁判決が示した住民の受忍限度を上回る値であり、このような特例措置は直ちに廃止されるべきである。

福島原発事故の被害者は全国30カ所以上で裁判を起こし、原告数は1万人を超える。アスベスト被害者も国や事業者の責任と賠償を求め訴訟を行っている。私たちはこうした公害被害者とも連携し、共同の運動を進めていく。

安倍政権はこれまで数々の場で憲法をないがしろにする政策をとってきたが、いよいよ改憲に向け、大きく踏み出そうとしている。憲法は私たちの運動の最も重要なよりどころであり、平和憲法を守る幅広い運動によって、改憲への動きをストップさせなければならない。本集会の最後にあたり、私たちはこのことを強く訴える。

2017年11月12日

  • 第43回道路全国連全国交流集会参加者一同

第42回全国交流集会アピール

第42回道路全国連交流集会は、2016年11月12日~13日、名古屋・労働会館で開催され、38団体、実質74人が参加した。

今年7月に行なわれた参議院選挙で自民党をはじめとする改憲政党が過半数を占めた。 しかし、32の定員1人区すべてで野党統一候補が実現し、11の選挙区で勝利を収めた。このことは今後の日本の政治にとって画期的な前進であった。ところが安倍政権はこれまでまともな議論を行わなかった憲法改悪を企図し、破綻したアベノミクスによる国民生活破壊の暴走路線を更に進めようとしている。そして相変わらずの大型公共事業の推進、リニア中央新幹線への公的資金の投入、辺野古や高江での米軍基地建設強行、東日本大震災の復興対策や原発汚染対策の遅れ、原発再稼働推進など国民生活を一顧だにしない悪政を続けている。

名古屋での現地見学は国道23号線の大型車対策、都市計画道路の一部廃止、国道302号線の工事被害補償の見直しなど貴重な前進を勝ち取っているのを見てきたが、不要な都市計画道路がいまだに推し進められようとしている。愛知県内で見ると中部国際空港の第二滑走路建設、同空港へのアクセス道として「西知多道路」の建設が計画されている。

リニア中央新幹線建設は愛知県内は勿論計画予定の各自治体でも多くの県民が反対を表明し、訴訟も行なわれている。多大な環境破壊が予想され、必要性、採算性、安全性と共に大深度工法による大量の土砂運搬による交通公害・渋滞の問題にも注目すべきである。にも関わらず、国がJRという一企業に3兆円もの財政投融資を行うことは許しがたい。問題の山積するリニア中央新幹線は建設中止以外に選択肢はあり得ない。

全国各地で、決定されればたとえ状況が変化しても、また住民の反対が強くても道路の計画・建設は止まることが無い。「渋滞」を理由に次々と道路を新設、拡大しても渋滞は解決していない。ここ数十年にわたり巨額な予算をつぎ込んで高速道路、港湾、空港など大型開発事業が進められてきたが国土の破壊、国民生活の窮乏、環境破壊、健康被害を促進してきただけであると断言せざるを得ない。

私たち道路全国連は国や地方自治体がこうした政策を転換し、むしろ高度成長期に建設された高速道路の劣化によるひび割れ・路面陥没の発生、老朽化し危険な橋脚・トンネルなどの対策・更新・補強にこそ予算を回すべきであると考える。

また、CO2やPM2.5の削減のためには自動車の総量を減らすことが最も有効な解決策である。

私たちは個別の不要な道路建設に反対するとともに、「車優先の道路建設」から本来あるべき「人に優しい交通政策・まちづくり」を行うよう国や地方自治体に求めるとともに、そのために全力を挙げて闘いを強化することを決意する。

2016年11月13日

  • 第42回道路全国連全国交流集会参加者一同

第41回全国交流集会アピール

第41回道路全国連交流集会は、2015年11月7日~8日、東京・国分寺市の東京経済大学で開催され、58団体、延べ153人が参加した。

昨年12月に行われた総選挙で、自民党は国会で過半数の議席を獲得した。その下で、安倍強権政治は、経済至上主義、利益至上主義の道をひたすら暴走し続けている。

その具体例は、リニア中央新幹線の事業認可や沖縄・辺野古の基地建設強行、そして多くの道路事業などにみることができる。こうした巨大な公共事業の推進は、老朽化したインフラ対策やその更新、東北の復興対策が遅れる要因ともなっている。

現地見学は、東京外環道の東名と中央道の2カ所の巨大ジャンクションを訪れた。そのスケールは異常に大きく、成熟した住宅街を分断するだけでなく、地下水を含め、周辺環境を破壊することは明らかである。二つのジャンクションは工事中に始まり供用後も引き続き周辺住民の生活に大きな影響を与えるであろう。

東京外環道に対しては1300通を越える異議申し立てが国土交通省に提出された。リニア中央新幹線では5000通を越える異議申し立てが行われた。また、特定整備路線でも4000通を越える異議申し立てが提出されている。しかし、国土交通省や東京都は、これらの異議申立てに対し、いまだに判断を示していない。先般の沖縄・辺野古での国交省の素早い対応とはあまりにも違いすぎる。

2050年、日本の人口は9700万人に減少すると推定され、高齢化はさらに進行する。そうした中、高齢者にとっては危機的年金や介護で老後崩壊ともいうべき状況にあり、若年層は非正規労働により将来設計を立てられない状況である。さらに子どもの6人に一人は貧困層といわれる。いまや世代を越えて貧困が拡大し、新たな大型道路に国民の税金を使う余裕はない。

21世紀の公共事業は発想を転換しなければならない。人を中心に計画し、まちづくりは人間を主人公として進めるべきである。そのためには、来年6月の参議院選挙、自治体選挙、そして来たるべき総選挙で安倍政権を打倒し、新たな政治の展望を切り拓くことが重要である。

こうした努力をする一方で、2012年、日弁連が国会に提出した「公共事業改革基本法」や本集会の記念講演で示された「オーフス条約」の批准を進める努力が求められる。

私たちは、全国の道路住民運動の連携を進め、新たな戦いに力強く立ち上がることをここに決意する。

2015年11月8日

  • 第41回道路全国連全国交流集会参加者一同

第40回全国交流集会アピール

第40回道路全国連交流集会は、横浜市の神奈川県立「あーすぷらざ」で開催され、46団体、211人が参加した。

本交流集会は今回で40回目を迎えた。この間、全国で繰り広げられてきた多くの道路住民運動団体の成果は必ずしも納得のいくものばかりではなく、むしろ厳しい闘いの連続であった。しかし、全国各地の団体は、それぞれの運動を通して発信された多くの声に鼓舞され、勇気づけられて、運動を継続することができたのも事実である。

40周年の節目に相応しい、中央大学の米田貢教授による「これからの日本」と題した記念講演は、経済学の専門家の目からみた日本経済の現状と今後の展望を分析して提示し、参加者に確信を与えた。

また、「道路運動40年、これから」と題したパネルディスカッションは、研究者、弁護士、ジャーナリスト、運動団体など各分野で活躍している方々がパネリストとなり、道路住民運動の現状の問題点を明らかにするとともに将来の方向性と展望を切り拓くものとなった。今後の私たちの活動に役立つことを願うものである。

安倍自公政権は10%へのさらなる消費税増税を強行しようとする一方で、「国土強靭化」の名のもとに、不要不急の大型公共事業を10年間200兆円規模で進めている。これは古い自民党政治のもとで失敗した愚かな政策を繰り返すことにほかならない。大都市圏の環状道路をはじめとした高規格幹線道路、リニア中央新幹線、スーパー堤防、ダムなど、国民から厳しい批判のある大型公共事業の復活と新規事業のゴリ押しは、自然と地域社会を破壊するのみならず既存インフラの点検・修復・整備を遅らせることとなり、国民に生命の危険を負わせ、膨大な財政負担を次世代に残すことになる。

日本の人口は急速に減少し、少子高齢化社会が進んでいる。現在の愚策を続けるならば、国内産業はさらに空洞化し日本経済は一層低迷することは疑う余地がない。国土強靭化による大型公共事業の推進ではなく、国民の安全・安心のために、貴重な税金は、少子化対策や年金福祉、医療・介護等に振り向けることが肝要である。

多くの矛盾を抱える社会に対し、市民の側から反転攻勢のチャンスを見出し、今後いっそうの市民運動の広がりと連携を進めていくことを決意する。

2014年10月12日

  • 第40回道路全国連交流集会

第39回全国交流集会アピール

第39回道路全国連交流集会は、東京国分寺市の東京経済大学で開催され、34団体149人が参加した。

昨年の交流集会以後、2回実施された国政選挙で自民党は多数を占め、安倍政権は公共事業費の大幅増額や特定秘密保護法の制定など強権政治の暴走を始めた。

中央自動車道の笹子トンネル事故は、「老朽化したインフラの維持管理こそ優先すべき」ということを明らかにした。自公政権はこれらの事故や、また、近い将来に到来するといわれる「南海トラフ地震」や「首都直下型地震」に備えるとして、強靭な国家建設が必要だとして公共事業予算の大盤振る舞いを始めた。

メンテナンス元年と言いながら、2012年度補正予算と2013年度当初予算の15ヶ月予算の公共事業関係費の老朽化対策の割合は公共事業全体の6.4%しかなく、既存インフラの老朽化対策は隅に追いやられているのが実態である。

人口減少社会の到来を考え、また、東日本大震災の被災地復興を優先させるならば新規事業を始める余裕はまったくない。このような施策の繰り返しは、次世代に膨大な負担だけを残すことに他ならない。またこうした施策は、貴重な自然を破壊し、培われてきた人と人とのつながりを断ち切ることに他ならない。

本集会の現地見学は、圏央道で無残に破壊された高尾山の惨状を確認した。特別報告では、都市部だけでなく全国いたるところで不要不急の道路建設が住民合意のないまま進められている実態が知らされた。

こうした事態が進行する中、運動と裁判の両面にわたって重要な前進を勝ち取っている団体があることも報告された。テーマ別分科会の議論を通して、参加者は勇気と元気と今後の活動へのヒントを得ることもできた。

法政大学の五十嵐教授の記念講演で指摘されたように、私たちは「政策的思考」力を高め、運動のあり方にも知恵と工夫を凝らしながら国土強靭化政策に真っ向から対決していくことが求められている。 そしてこの道こそは、3.11直後に道路全国連が発信した「不要・不急な公共事業予算を震災復興費へ」を実現する道そのものでもある。

自公政権の暴走に不安を感じ、また異議を唱えて立ち上がっている多くの各層各分野の国民運動とも連携を強めながら、私たちは「国土強靭化」に対峙する新たなたたかいに全力を挙げていくことをここに決意する。

2013年11月10日

  • 第39回道路住民運動全国連絡会『全国交流集会 In 東京』参加者一同