《New》工事差し止めの司法判断を真摯に受け止め東京外環道事業は直ちに中止し、憲法違反の大深度法は廃止せよ

2022年3月16日

  • 道路住民運動全国連絡会

2022年2月28日東京地方裁判所民事第9部(目代真理裁判長)は、東京外環道工事差止仮処分申立事件において、住民の人格権を侵害する工事の違法性を認め、東京外環道の事業者である「国とネクスコ2社(東日本高速道路(株)、中日本高速道路(株))」(以下債務者らという)に対して、トンネル工事を一部差し止める旨の決定を発した。

決定の要点は「債務者らは、東京都市計画道路事業都市高速道路外郭環状線のうち東名立坑発進に係るトンネル掘削工事において、気泡シールド工法によるシールドトンネル掘削工事を行い、または第三者をして行わせてはならない」というものである。これによって、東京外環道の往復2本の本線トンネル約16.2kmのうち、それぞれ南側約9km部分について掘進工事の停止が命じられた。この部分は、2020年10月18日に調布市東つつじヶ丘地区の地下47m以深で工事中であったトンネル上の地表の道路陥没と地中3か所の空洞及び地盤の緩みが発見された区域も含んでいる。

本決定によって、事業者らは、裁判上の手続によって具体的な「再発防止対策」を示して決定を覆せない限り、任意に工事を再開することは出来なくなった。

また、今回の工事差し止め決定は当該債権者以外にも本件差止区間のトンネル予定地上の多くの住民に安心感を与えるものである。更にトンネルの真上でない住民についても、地盤の緩み、空洞、陥没の危険が認められ、事業者のいう「トンネルの真上」だけでなく、その周辺の一定の範囲の住民にとっても被害補償につながる決定である。

言うまでもなく、今回認定された9km以外の東京外環道の全区間に於いても、陥没事故など同様の影響が当然に予測されることから、今回決定には不十分さが残されており、当事者の方々が即時抗告したように、司法には事実に正面から向き合い更に踏み込んだ科学的・合理的判断をすることを求める。

東京外環道は平成25年(2013年)に大深度法(正式名称:大深度地下の公共的使用に関する特別措置法(平成十二年法律第八十七号))の認可を受けて事業が進められている。しかし、「通常使用しない大深度地下を使用するので地上には影響が無い」といった大深度法の「前提」である安全神話は、この間に起きた住民の命さえも奪いかねない酸欠気泡噴出や陥没・空洞事故、振動・低周波音による健康破壊、そして約30戸の家壊し・街壊しにより崩れ去った。

このように無断・無補償で地権者の土地の地下を勝手に使ってよいとする大深度法は、日本国憲法29条(財産権)・13条(人格権)・25条(生存権)などに違反していることが誰の目にも明らかになっている。

東京外環道事業は平成19年(2007年)に地下方式に都市計画変更決定されたものであるが、決定から15年が経過し、この間には社会経済環境の変化によって平成22年(2010年)以降は自動車交通量が減少し続けており、住民などからは事業の必要性や環境破壊など数多くの疑問が出されてきている。

しかも当初に見積もった事業費1兆2820億円が2020年には2兆3575億円に膨れ上がっている。この事業については5年ごとに事業再評価が行われていて、2020年の再評価では費用対効果(B/C)が「1.01」となっている。しかし、平成27年(2015年)に構造変更された地中拡幅部は全体として未だに工法や費用が示されておらず、それらの分を合わせると費用対効果は事業再評価時の判断基準である「1.0」を大きく下回り、当然に中止や見直しすべき事業となる。

事業者らも十分知っているように、仮処分といえども公共事業の中止を裁判所が命じることは非常に稀有な事例であり、今回の工事差し止め決定は極めて貴重で勇気ある画期的な司法判断である。

事業者らはこの度の司法判断を真摯に受け止め外環道全線の事業を中止すること、更に国に於いては特措法である憲法違反の大深度法は直ちに廃止することを求める。

以上

【関係資料】