第39回道路全国連交流集会は、東京国分寺市の東京経済大学で開催され、34団体149人が参加した。
昨年の交流集会以後、2回実施された国政選挙で自民党は多数を占め、安倍政権は公共事業費の大幅増額や特定秘密保護法の制定など強権政治の暴走を始めた。
中央自動車道の笹子トンネル事故は、「老朽化したインフラの維持管理こそ優先すべき」ということを明らかにした。自公政権はこれらの事故や、また、近い将来に到来するといわれる「南海トラフ地震」や「首都直下型地震」に備えるとして、強靭な国家建設が必要だとして公共事業予算の大盤振る舞いを始めた。
メンテナンス元年と言いながら、2012年度補正予算と2013年度当初予算の15ヶ月予算の公共事業関係費の老朽化対策の割合は公共事業全体の6.4%しかなく、既存インフラの老朽化対策は隅に追いやられているのが実態である。
人口減少社会の到来を考え、また、東日本大震災の被災地復興を優先させるならば新規事業を始める余裕はまったくない。このような施策の繰り返しは、次世代に膨大な負担だけを残すことに他ならない。またこうした施策は、貴重な自然を破壊し、培われてきた人と人とのつながりを断ち切ることに他ならない。
本集会の現地見学は、圏央道で無残に破壊された高尾山の惨状を確認した。特別報告では、都市部だけでなく全国いたるところで不要不急の道路建設が住民合意のないまま進められている実態が知らされた。
こうした事態が進行する中、運動と裁判の両面にわたって重要な前進を勝ち取っている団体があることも報告された。テーマ別分科会の議論を通して、参加者は勇気と元気と今後の活動へのヒントを得ることもできた。
法政大学の五十嵐教授の記念講演で指摘されたように、私たちは「政策的思考」力を高め、運動のあり方にも知恵と工夫を凝らしながら国土強靭化政策に真っ向から対決していくことが求められている。 そしてこの道こそは、3.11直後に道路全国連が発信した「不要・不急な公共事業予算を震災復興費へ」を実現する道そのものでもある。
自公政権の暴走に不安を感じ、また異議を唱えて立ち上がっている多くの各層各分野の国民運動とも連携を強めながら、私たちは「国土強靭化」に対峙する新たなたたかいに全力を挙げていくことをここに決意する。
2013年11月10日
- 第39回道路住民運動全国連絡会『全国交流集会 In 東京』参加者一同