第44回全国交流集会アピール

道路住民運動全国連絡会第44回全国交流集会は、東京都国分寺市の東京経済大学で開催され、36団体、128人が参加した。

東京では、大深度法が初めて本格適用された巨大な外環道工事により、地表が異常事態となっている。地下40mの工事現場で使用された気泡が、致死レベルの酸素欠乏ガスとなって地上の川面に噴出。更に地下水も地上に噴出した。しかし住民への説明会開催がないまま、工事が続行されている。

地上部に影響を与えないことを大前提に成立した大深度法であるが、脆くもその大前提が崩れ去っている。このことは、東京外環道訴訟の大きな争点となるとともに、リニア新幹線事業、大阪淀川左岸延伸部など、大深度法が適用される事業に警鐘を鳴らすものでもある。

都市計画道路では、東京都が見直しの姿勢を見せることなく、半世紀以上前の計画実現を地元住民の意向を無視して強行しており、また、災害対応を口実に特定整備路線を強引に進めている。いずれも、自然環境やまち壊しである。当然、各地で反対運動が巻き起こり、都内で12の道路裁判が争われている。

計画段階の事業評価及び事業再評価などの制度は、全く機能していない。

このように、全国の道路計画・道路事業は「人間が主人公のまちづくり」とはほど遠い状況にある。人口減少、高齢化社会を迎え、不要・不急の道路政策は見直されなければならず、真の住民参加の実現が求められる。

年間5兆円が必要である老朽化したインフラの補修維持費は、18年度当初予算で5440億円と、必要額の1割にとどまっている。また、東日本大震災からの復興、とりわけ福島原発事故の被災者への支援打ち切り、暴力的な辺野古基地建設など、民意を無視した政策が続いている。一方、5兆円を超えた防衛費は、次々に高額兵器を米国の言い値で買い上げることにより、後年度負担を含め、既にGDP1%という枠を超えるとの指摘がある。財政を破綻に導くアベノミクスと併せ、早急に是正が必要な状況である。

2019年は統一地方選挙、そして参議院議員選挙の年である。改憲を見据える安倍政権の暴走を止めるとともに、不要・不急の道路建設を止め、弱者に目を向けた、だれもが住みやすいまちづくり、国造りを実現していかなければならない。

私たちはこの問題に、自公政権に異議を唱えて立ち上がっている多くの市民運動との連携を強めながら、全力を挙げて取り組んでいくことをここに宣言する。

2018年11月18日

  • 道路住民運動全国連絡会第44回全国交流集会参加者一同