第33回全国交流集会 特別決議

圏央道工事を中止せよ

首都圏中央連絡自動車道(圏央道)計画は、バブル経済の1980年代、第4次全国総合開発計画により計画したムダで有害な公共事業の見本である。84年の計画発表時から、千葉県、茨城県、埼玉県、東京都、神奈川県の総延長300キロメートル沿線で事業に反対する多くの住民運動団体が結成され、建設の反対運動が繰り広げられてきた。

東京都あきる野市では、居住している住民の土地と家を強制収用することに反対し、関係住民は事業認定取り消しの裁判を起した。04年4月、東京地方裁判所は住民の訴えを認め、圏央道は公害を発生させる暇疵ある道路として事業認定を取り消した。この判決は、圏央道は都心の渋滞緩和に役立つという行政の主張も退けた。

国土交通省(国交省)はこの判決に何ら反省することなく、国指定史跡八王子城跡や国定公園高尾山にトンネルを掘ることを強行している。05年5月、八王子城跡の重要な遺構で、これまで一度も涸れたことのない御主殿の滝が涸れた。また地下水位を観測するために設置してある観測孔の地下水位は35メートルも低下した。それ以後、地下水位の低下や滝涸れは回復していない。

06年9月、圏央道建設促進協議会会長を務める黒須八王子市長は市議会で、「滝涸れの原因はトンネル工事であることは明確」と答弁した。07年6月、圏央道工事差し止めを求めた高尾山天狗裁判の民事訴訟において、東京地裁八王子支部は、国の主張を一方的に認める不当判決を下した。しかし、その判決でさえ、トンネル工事による地下水脈の破壊を認定せざるをえなかった。今や滝涸れの原因はトンネル工事にあることは明らかである。しかし国交省は、ここに至ってもなお原因は究明中として、トンネル工事の影響を認めようとはしない。

東京都収用委員会の収用裁決は目前に迫り、高尾山トンネル南北出口に展開するトラスト地を強制収用する手続きが進んでいる。07年5月、国交省は高尾山のトンネル工事に着手したが、一部の土地が買収できず、坑口から50メートルまで掘り進んだところで工事は中断している。 国交省は、未買収地の収用裁決が出るのを今や遅し、と待っている。トンネル工事が始まるや八王子城跡と同様に、沢水が滑れ始めた。トンネル工事の強行は、高尾山の地下水脈を破壊し、山の生態に重大な打撃を与えるであろう。僧が修行する琵琶滝や蛇滝は涸れることは間違いない。

都民のオアシスであり、東京に残された最後の自然の宝庫である国定公園高尾山にトンネルを掘る圏央道工事の中止を強く求めるものである。

2007年11月11日

  • 第33回道路公害反対運動全国交流集会