道路行政を抜本的に転換し、健康と環境を守り、安心・安全の新しい国づくりを
国民のみなさん
私たちは、21世紀の道路行政と健康と環境を考えるため、道路公害に反対する全国48の住民運動団体、168名が集まり全国交流集会を大阪で開催しました。
集会での講演・報告や各地の運動の交流を通じ、今や国民的課題である道路問題解決のため私たちが果たさなければならない役割の大切さを改めて確信することが出来ました。
<公害は終わっていない。東京大気汚染公害裁判の成果を生かし、健康被害の救済、環境基準の強化を>
昨年、東京大気汚染公害裁判の勝利和解は、ぜん息始め道路公害の救済が切実に求められていることを示しています。公害はなくなったという行政の宣伝は誤っています。
西村隆雄弁護士らから東京大気汚染公害裁判の成果に基づくぜん息患者の医療費助成が始まり、多くのぜん息患者から喜ばれていると言う報告が行われました。大阪では、東京に続いてぜん息患者の救済を求める府民運動が始まろうとしています。こうした取り組みが各地ですすめられており、その重要性があらためて強調されました。
島田章則・鳥取大学教授の記念講演で紹介された犬の肺に蓄積したナノ粒子など浮遊粒子状物質の画像は大気汚染の凄まじさを改めて示しています。
また、西川榮一・神戸商船大学名誉教授の報告は、PM2.5基準が未だに決まっていないことや二酸化窒素など環境基準が甘いなど、環境基準が国際的にも遅れていることを示しています。
私たちは、国はPM2.5の環境基準を早急に定め、また二酸化窒素の環境基準を年平均値20ppb以下に強めることを要求します。また、道路公害をなくすための監視体制の強化、最新の公害対策の実施を国や道路事業者、自動車メーカーに要求します。
<地球温暖化を悪化させる自動車排出の二酸化炭素削減を>
地球温暖化対策が待ったなしの中、自動車排気ガス及びムダな高速道路建設による二酸化炭素の排出量が増え続けています。地球温暖化対策のためにも交通運輸政策の転換を求めます。
<「道路中期計画」をとりやめ、道路特定財源の一般財源化をもとめます>
小井修一さんはじめ多くの報告、発言は道路特定財源の一般財源化が国政の重要課題になっており、「道路中期計画」の中止など税金の使い方の在り方からも自動車中心の交通運輸政策の抜本的な見直しが求められていることが明らかになりました。こうした中、各地でムダで有害な道路はいらないと言う世論が高まるとともに、自然環境、文化財、住環境を破壊する道路は止めて欲しいという取り組みなど新たなまちづくり運動が一層重要になっています。
国民のみなさん
今や自動車中心・高速道路建設優先の国づくりを、環境・福祉優先の国づくりへ転換する重要性は誰の目にも当たり前になってきています。
私たちは、公害被害の救済、そしてムダな公共事業の見直しを求める全国の運動と連帯を築き、世論を高め、新しい国づくりに役立つよう新たな決意ですすむことをここに表明します。
2008年11月9日
- 第34回道路公害反対運動全国交流集会