- 菅 直人 内閣総理大臣
- 五百旗頭 真 東日本大震災復興構想会議議長
3月11日の東日本大震災は、大地震・巨大津波・レベル7の原発事故が重なり、未曾有の大惨事となりました。とりわけ福島原発の危機は、全く持続可能でない私たちの社会を象徴しており、今までの日本社会のあり方に根底からの見直しを迫っています。
私たちは、被災した方々の生活再建について、市民として連帯と協力の意思を表明するとともに、国会と内閣が生活再建を最優先とした政策・事業を採用すべきだと考えます。
不要・不急な公共事業の2011年度予算約二兆四千億円は、復興財源としてシフトすべきです。その理由は、次のとおりです。
(1) 「もんじゅ」等の原子力発電開発関係事業はすべて凍結のうえ、早急に廃止に向けて政策変更をしなければならない。
(2) 原子力開発・道路整備・港湾整備・空港整備・新幹線・農業農村整備・林野公共・ダム事業等はいずれも自然生態系の破壊に繋がる恐れがある。生物多様性条約会議のホスト国である日本政府には、昨年議決された「愛知ターゲット」を守ることが求められており、これらの事業の執行は慎重でなければならない。
(3)原子力開発・道路整備・港湾整備・空港整備・新幹線・農業農村整備・林野公共・ダム事業等は急を要する事業ではないうえに、そのほとんどは計画から完成まで数十年かかる事業であるため、事業期間延長の影響が小さい。
(4)予算執行に係る技官や事業者、資材も、被災地のインフラ復旧へシフトできる。
(5)ダム事業はそもそも見直し中であるため、予算シフトの影響が最小限に抑えられる。
一方で、ダム等の不要・不急な公共事業への予算のシフトすらなされないまま、大量の国債を発行したり、増税を行ったり、国民生活に直結する予算を削減したりすることは、決して認められません。
私たちは、国民の代表たる国会と内閣の主導によって、不要・不急な公共事業2011年度予算約二兆四千億円を震災復興費へ丸ごとシフトさせることを、強く求めます。
2011年6月20日
- 全国自然保護連合
- 道路住民運動全国連絡会
- ラムサール・ネットワーク日本
- 水源開発問題全国連絡会