第32回全国交流集会アピール

第32回道路公害反対運動全国交流集会は「道路行政の民主的転換を求めて」のスローガンのもと、東京で開かれました。集会には広島、兵庫、大阪、奈良、京都、愛知、神奈川、千葉、埼玉、東京より200名が参加しました。

環境の世紀といわれて始まった21世紀も、すでに5年が経過しました。しかし、全国各地ゼ20世紀よりも環境を破壊する公共事業が進んでいます。道路建設もしかりです。

9月28日、東京高等裁判所は東京大気汚染公害訴訟の結審にあたり、「解決勧告」を言いわたしました。内容は、「原告(大気汚染公害被害者)の多くの方が亡くなっている。裁判所としては、出来る限り早く、抜本的、最終的な解決を図りたい。」というものであった。これは、被害者の救済制度を早急につくれと言う事に他なりません。

国道43号線、西淀川、川崎、尼崎、名古屋、東京と続いた道路公害裁判は、道路公害が住民に重大な被害をもたらしている事実を明らかにしましたが、先の「解決勧告」は、その被害がより深刻になっていることをものがたっています。

しかし、高速道路を始め、大規模な幹線道路建設は依然として全国で進められています。また、大型の都市計画道路も然りです。東京では、石原都政のもと、オリンピックを口実に道路建設を強行しています。

こうした一方的な道路行政のあり方に対し、私たちは行政への働きかけをよりいっそう強めなければなりません。

今や国と地方を合せると1000兆円ともいえる借金をかかえています。道路公団は昨年10月より民営化され、公団負債の穴埋めや不採算路線へは税金投入の道さえ開きました。民営化したことによる情報公開の後退も危惧されます。今後、政府と民営会社の動向を監視する必要があります。

これ以上ムダで有害な道路建設は必要ありません。国は道路事業を進めるにあたって、その公正性と透明性を高めると公言し、計画の早い段階から住民に情報を提供し、住民との合意形成を図ると言っています。しかし、これらは現場では活かされていません。あいも変わらず一旦決めたものは強引に進めているのが実情です。一度始めたら止まらないと言われてきた公共事業もダムや埋め立てでは見直しが行われ、中止する事業も生まれています。

車優先から人間優先の社会に政策を転換するときです。この2日間で討論した中身を地域に帰って報告し、仲間を増やしましょう。そして、運動の輪を広げましょう。道路政策の転換は、自然保護やまちづく りに取組む住民運動、市民運動のみならず、国民の多くから求められています。

2006年10月15日

  • 第32回道路公害反対運動全国交流集会