第29回全国交流集会アピール

私たちは、第29回道路公害反対運動全国交流集会を、10月12日、13日愛知で開催し、全国から11都府県42団体169人が参加しました。

全国から集まった私たちの運動は、計画段階、建設中、供用段階とさまざまであり、運動の組織や形態も多様です。しかし、共通しているのは地域住民のいのちと健康、生活を守る立場で運動を進めていることです。また、粘り強く運動が継続され、運動が日々広がり、強まっていることです。

道路事業に対する環境は大きく変化してきました。世論調査では、道路建設をはじめとする公共事業には「無駄がある。減らすべき」が9割を占め、高速道路の「拡充は不必要」が「必要」を上回っています。95年の43号線、西淀川判決から昨年10月の東京大気汚染訴訟の判決に連なる一連の大気汚染裁判で自動車排ガスの健康・生活被害と国、公団の加害責任が明らかにされました。ディーゼル排ガス規制も始まりました。民営化論議を含め道路公団のあり方そのものも問われています。10月3日には圏央道あきる野の土地収用に東京地裁が執行停止決定を出しました。しかし、東京都、国と公団は即時抗告しました。

国と地方の債務は700兆円にもおよび、道路関係4公団の債務は40兆円となり、財政破綻の状況です。しかし、いまなお公共事業費の3分の1を投入して道路建設が続けられています。利権の温床でもある道路建設は住民に知らせないまま計画が進められています。まだ、国や公団、自治体の道路行政の姿勢を変えるには至っていません。現在の道路事業が推し進められるなら、住民との矛盾は広がり、道路公害と住民無視の道路建設に反対する運動は、更に強く広がるでしょう。

私たちの運動は道路問題だけにとどまりません。全国で道路問題を含めた地域再生の運動が始まっています。私たちの運動は、道路問題から始まり、国と自治体のあり方、住民合意、住民参加による道づくり、まちづくりの運動に発展しています。無駄な道路建設を止め、交通政策を転換させることは地球温暖化を始め地球環境を守る運動でもあります。道路公害問題を基本にしながら幅広い視野を持って運動を進めることが求められています。

開発と環境破壊の20世紀から環境優先・自然と共に生きる21世紀にたって、私たちは、住民参加による人と環境にやさしい公共交通機関をいかしたまちづくりを求めます。くるま優先の道路から人間優先の道路へと道路政策を転換することを強く求めます。

2003年10月13日

  • 第29回道路公害反対運動全国交流集会