第36回全国交流集会アピール

私たちは、第36回道路全国連・全国交流集会を11月13日、14日、愛知で開催、全国から43団体142人が参加した。

昨年8月の総選挙に向けて民主党は「コンクリートから人へ」をスローガンに、マニフェストには「自動車中心の街づくり政策を転換し、路線バスや軌道系交通(鉄道・路面電車・次世代型路面電車システムLRT等)を充実する」と掲げた。そして政権担当後は国幹道建設会議を廃止し、全国の国道130路線を凍結候補とするなど、自公政権の道路特定財源に依拠してひたすら道路づくりを推進する政策に対比して、大いに期待を抱かせるものであった。

しかし半年も経過しないうちに凍結候補の6割、78路線の凍結を解除してしまった。民主党都道府県連の要望によるものという。これら民主党都道府県連が日本の、あるいはそれぞれの都道府県の交通政策について議論したかどうかは報道されていない。

また、高速道路については、建設の可否を判断する事業評価の費用対便益(B/C)の計算過程で便益を過剰に計上し、建設ありきで計画が進められているとの指摘がされている。この度、行政刷新会議で公共事業評価の要であるB/Cが俎上に乗ったが、道路全国連はより一層の抜本的見直しを求め、それに基づいて全事業のB/C見直しを要求する。

決定されれば状況が変化しても止まらない道路計画・建設に対し、道路全国連は、改めて徹底した情報公開と事業中止を含めた再検討を求めるものである。

そもそも道路建設の理由としてまず挙げられる交通渋滞に対し、道路新設によって対応する政策はすでにここ30年にわたり破綻が明らかになってきた。つまり道路を新設、拡大するたびに渋滞は拡大し続けてきている。

いまや年々多様化し増大する国民の交通要求に対しては、道路増設によらず、公共交通拡充によるしか解決はあり得ない。これはこの間、世界で立証されている。CO2削減のためにも、PM2.5削減のためにも自動車交通の総量抑制は重要な課題となっている。

この1年も道路計画見直しや道路公害に反対し粘り強い運動が全国各地で展開された。5月には広島の国道2号線訴訟で、道路の差し止めは認められなかったものの周辺住民の騒音被害に対し国の賠償を求める判決が出された。また、大気汚染公害裁判を闘ってきた公害被害者が要求する医療費全面救済を私たちも支持し、その成功のために闘うものである。

道路全国連は、個々の道路に対する公害対策を求め続けると同時に、車優先の道路建設から本来あるべき交通政策の樹立を要求するものである。

2010年11月14日

  • 第36回道路全国連・全国交流集会