道路公害反対運動全国連絡会は、11月10、11の両日、東京において、「道路行政の民主的転換を求めて」のスローガンのもと、第33回全国交流集会を開催しました。本集会には広島、兵庫、大阪、京都、愛知、神奈川、千葉、埼玉、東京より180名が参加し、討論と交流を深めました。
環境優先の世紀といわれた21世紀も、すでに6年経過しましたが、全国各・地で公共事業の名の下に、住民の生活環境や自然環境を破壊する大型道路建設が強行されています。
2007年6月14日、国土交通省社会資本整備審議会道路分科会は、「品格ある国土と快適な生活の実現に向けた道路政策」の建議を発表しました。
建議には、道路事業を進めるにあたり、国民との合意形成や説明責任を果たすことの重要性、さらに環境への配慮をうたっています。その一方、重要な温暖化対策として、渋滞を緩和し自動車の走行速度を上げるためと称して、都市圏の環状道路整備や道路ネットワークの推進を明記しています。
道路建設にあたり、国・自治体は国民との合意形成や事業の説明責任を果たすことは当然です。しかし一定の柔軟なポーズを見せながら、建設を強行する姿勢は全く変わりません。こうした姿勢は、住民の反対運動や建設に批判的な国民世論をかわすためと言わざるをえません。
8月8日、東京大気汚染公害訴訟原告団と弁護団は、東京高裁での和解を成立させ、裁判闘争を終結させました。この裁判は、国、東京都、首都高速道路公団、そして自動車メーカー7社を被告にした、これまでにない要求を掲げた闘いでしたが、ぜん息患者への新たな医療費助成制度創設や道路公害対策、さらにメーカーから解決金を勝ち取るという画期的な勝利和解を勝ち取りました。 国や東京都は、和解文書に環状道路や道路ネットワークの整備を明記することを強く主張しましたが、原告団・弁護団は、これを批判し、和解不成立も辞さないという姿勢を貫き、この策動をはねのけました。道路公害を共に闘う仲間として、この解決を心から喜ぶとともに、さらに連帯の運動が前進することを望むものです。
国・自治体は道路事業を進めるにあたって、事業の公正性と透明性を高めると公言し、計画の早い段階から住民に情報を提供し、住民との合意形成を図ると明言しています。しかし、これらは現場では活かされていません。あいも変わらず一旦決めたものを強引に進めているのが実情です。
国民の健康を守り、自然環境保全、生活環境保全についての施策を抜本的に改め、これ以上ムダで有害な道路建設は中止すべきです。
車優先から人間優先の社会に今こそ政策転換する時です。
この2日間で討論した内容を地域に帰って報告し、仲間を増やし運動の輪を広げましょう。
道路政策と道路行政の民主的転換は、自然保護やまちづくりに取組む住民運動、市民運動のみならず、国民の多くから求められています。
2007年11月11日
- 第33回道路公害反対運動全国交流集会