第28回全国交流集会 強制収用手続きの中止と土地収用法の改正を求める決議

本年9月30日、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)建設予定地の東京都あきる野市の未買収地とトラスト地に対して、東京都収用委員会は土地収用裁決を行なった。また、10月30日には、京都高速道路新十条通トンネル通過地の鳥羽街道団地でも、阪神高速道路公団は土地収用裁決を申請した。圏央道の八王子市裏高尾地区では土地や立ち木のトラスト地を取り上げるために昨年末から事業認定や土地収用の手続きが始まった。自然破壊や住環境破壊の道路建設に反対する住民運動団体への収用手続きは前代未聞のことであり、絶対認めるわけにはいかない。

いずれの事業も、関係住民は計画発表で始めて事業の内容を知るという行政の秘密主義の下で進められたものである。続けて行われたアセスメントや各種説明会の行政手続きは、形式的で事業を進めるための免罪符や通過儀礼にすぎなかった。再三にわたる話し合いの申し入れすら拒否し続けた行政の姿勢は、厳しく責められる。

これまで不十分であった国民との合意形成を進め、事業の説明責任を果たすとして、昨年6月、土地収用法が改正された。しかし改正の真の狙いは、土地や立ち木のトラスト運動を無力化することであった。事業認定の手続きを若干丁寧にするとして公聴会開催や事業認定理由の公表を義務づける一方で、収用委員会の審理時間を大幅に短縮し裁決後の地権者への補償金の手渡しは郵送でも可能とした。

東京都日の出町の二ツ塚廃棄物最終処分場の土地トラストに手を焼いた行政は、道路建設を止めるため全国各地で展開されているトラスト運動つぶしを法改正の動機にした。国民や関係住民との合意形成を重視するとして改正した新土地収用法ではあるが、基本的な枠組みは変わっていない。起業者である国土交通大臣が土地収用のための事業認定を申請し、事業の公益性を判断し認定するのも国土交通大臣自身である。これは改正時にマスコミも批判した自作自演の制度そのものであり、事業の公益性を判断する意志も資格もないと言わざるをえない。

関係住民との合意形成を無視して、強制収用という強行手段で進めようとしている事業に正当性はない。直ちに収用手続を停止し、事業を見直すべきである。

自作自演の土地収用法は、少なくとも事業認定審査機関を国土交通省から独立した第3者機関にするなど、直ちに改正を行なうことが必要である。

2002年11月10日

  • 国土交通省、京都府、京都市、各自治体、道路四公団 あて
  • 第28回道路公害反対運動全国交流集会